2010/04/19

LASSE MARHAUG + MERZBOW + HAIR STYLISTICS

2010/4/18 (Sun.)
LASSE MARHAUG + MERZBOW + HAIR STYLISTICS, MARANATA + 姫野さやか
at SuperDeluxe Roppongi

LIVE: 
LASSE MARHAUG + MERZBOW + HAIR STYLISTICS
MARANATA + Sayaka Himeno


LASSE MARHAUG

PAの具合を確かめるようにスポットライトで照らされたスキンヘッドをギラつかせながら荘厳なシンセをマックから垂れ流して演奏がスタート。ALVA NOTOの様な直線的で研ぎ澄まされた無駄のないサインウェーブではなく、規定の一音に様々なテクスチャーが幾重にも執拗に絡みついてゆくドローン。併せて、大根のおろし器に似た自作のノイズ発生装置をいじって産み出される縦の音が徐々に空間の幅を押し広げてゆく。その容姿とは裏腹に繊細な仕事ぶりを評価されたレビューをよく見かけるが、確かに、聴衆を飽きさせない真面目さが音に滲み出ている。抑制された音の洪水に飲み込まれ心地よく酔いしれてウトウトくると、ラッセは徐に立ち上がり大根おろし器を振りかざす。途端に音が身体をとらえ凶暴さを剥き出して襲いかかってくる。気がつくと既にマックは閉じられており、轟音を生み出すのは唯一、おろし器の役目となる。すべての音が飽和状態になった瞬間、プラグをミキサーがら毟り取って演奏は唐突に終了した。昨年のJIM O'ROURKE + LASSE MARHAUG + MERZBOWの演奏では音響的なアプローチをジムがEMS Syntiで一手に引き受け、その下地を秋田さんが支えるといった構成に、ラッセの奔放で楽しそうに暴れまわるノイズが印象的な演奏がだったので、まさかここまでソロが音響面にも特化し、しっかりとした音楽的流れを持つ素晴らしいものになるとは思ってなかったので感動してしまった。この日いちばんのパフォーマンス。

ラッセのソロ終盤の映像。APAPも自作の機材を使ってみたい。


MARANATA + Sayaka Himeno

この人たちには感想もなにもない。こんなつまらないライブ久しぶりでした。なぜLASSE MARHAUGの共演者は去年の小鹿バンドといいクソなんだろ。ドラムは始めにはりきりすぎて後半音全然聞こえないし、ギターのやつ飽きてるし、長いし。ただの雑音。


LASSE MARHAUG + MERZBOW + HAIR STYLISTICS

中原さんの準備がなかなかできなくて痺れを切らしたラッセが勝手に音を出し始めスタート、ラッセを真ん中に左右、あたふたするヘアと少し離れた位置で落ち着き払いマックの画面を睨む秋田さんの対照的だが日本を代表するノイズ・ミュージシャンのふたり。しかし率直な感想としては65点ぐらいのそこそこなライブだった。やはり昨年の演奏が素晴らしすぎた為に期待が高まりすぎたのかもしれない。問題点として一年経ったラッセは奔放な楽しいノイズを通過してソロアーティストとして成長し、個人として完結してしまったが故の隙の無さが逆に今回のアンサンブルに馴染まなかったようにおもう。加えて言うなら、成長したラッセの音がメルツの音に酷似している部分がある為、お互いの良さを潰し合ってしまい、その結果、演奏のバランスの悪さを露見してしまうカタチになっていた。逆に隙だらけの中原さんのヘンテコな音が抜きん出ており、演奏に奥行きを与えていたようにさえ思えた。まあ相変わらず不必要に長いマイクのコードが絡まってて解けなかったり、大量のエフェクターをどこまで把握して操作しているのかなんて事を考えてしまったが、それ自体が中原昌也のアイデンティティなのだと妙に納得してしまった。対する秋田さんは今回かなりコンディションが悪かったのではないだろうか、マックブックが新品になっていたしマジックマウスがとにかく使いづらそうだった。そしてなにより衝撃的だったのがカオシレーターを使っていた事。過去にはEMSのSynthiなど完璧ともいえるハードの使い手だった秋田昌美がごくごく一般的なカオシレーターなんか使うなんて、黄色似合わないし、かるく混乱に陥るもそこはノイズの帝王MERZBOW。なんとPHONEジャックにコードを挿してエフェクターに繋げる力技で、空間を切り裂くシンセを披露。うわーあれマネしよwなんてミーハー魂炸裂しました。演奏自体は一切流れというものが感じられない三つ巴のフリーノイズ合戦になるもそこは経験の差か聴き応えのある轟音が繰り広げられる。終盤ソロと同じくマックを閉じ、おろし器を思う存分振り回したラッセは満足そうにひとり後ろに下がり演奏はMERZBOW vs HAIR STYLISTICSの構図に、これよく考えると凄い。これを狙ってたというか一番見たかったのはラッセ自身なんだろうなとか思いながら後ろで水を飲む大男を眺める。確かにGJだ。まず仕掛けたのは中原昌也、全然聞こえなかったマイクに叫び続けるのをやめ、変てこな音が加速してゆく。意味があるようでない、無いようである。ほとんどなにもない。この日の中原昌也は本当に格好良かった。一方、ラッセが抜けたことで音が聞き取りやすくなったメルツはそ知らぬ顔をしながらも徐々に音圧をあげていく。新しく作ったものなのか、お歳暮のクッキーの缶に似た手作りノイズ発生装置が持ちづらかったのか机に置いたまま押し付けて操っており、いつものパンクな早弾きは見られなかったのですごく残念だった。しかし、なかなか見れない組合せに両者も楽しかったのかサービス精神旺盛なパフォーマンスでお互いに見せ場を何度も設け、なし崩し的に演奏は終了。この二人放っておけば朝まででもノイズを垂れ流しかねない。スーデラにはステージがないので演奏が終了すると客が各々の機材に大勢群がる。一番乗りで気になる機材を写真に収めてきた。しかしまあ演奏者側からすればそんなに気分のいいことではないのは確かで、僕と友達はメルツの彼女に叱られる羽目に。その注意の仕方がまたハンパなくて、さすが秋田昌美が選んだ女といった感じでした。あんな面白いものが見られるなんて、これだからノイズはやめられない。


ヘアのエフェクターの一部。上のElectro-Harmonix2台、hamheart辺りをイジってる時の音が最高だった

ラッセの手作り機材、おろし器は撮り忘れた。この他にOlympus LS-11やカオスパッドミニなど

これが問題のカオシレーターの写真。繋いでるエフェクターを撮りそこなった。この直後、彼女がきて叱られることに...